「森の温泉 森のめし」などをキャッチコピーに、やたら宣伝が上手い「箱根湯寮」。
小田急系列の電車やバスで中吊り広告を目にして、心ひかれた人も多いはず。かくいう私(貧乏ライターくろたま)もその一人。
本当に森の中で世捨て人の気分になれるのか、混雑する土日を避けて訪問!箱根ブランドに洗脳されてリピーターに!地元旅館関係者が軽蔑の視線で見下す「箱根のスーパー銭湯」をレビューしました。
Contents
箱根湯本駅徒歩0分!バス直結!
ロマンスカー終着駅の箱根湯本駅ですが、貧乏ライターなので小田急の急行でたどり着きました。改札出て土産物(干物、饅頭など)の誘惑を振り切って、エスカレーター降りたら、すぐ目の前に箱根湯寮専用の送迎バス停。
これは便利過ぎ。箱根の大スポンサー小田急がやりたい放題やってま~す!
バスは10~20分間隔で運行しており、駅裏のすごく急な坂を登ってわずか3分。あっけなく塔ノ沢山中にある「箱根湯寮」に到着しました。
難しいこと考えないで、すぐにアクセスできるのはありがたい。生活に追われ日常に疲れきっていた私でもたどり着けました。
古民家にしては、やたら新しい館内
こちらの売りは、ずばり「古民家風」。
猫もしゃくしも古民家で人気取りは安直。今や日本全国、古民家風の町おこし列島になってしまった…
入り口が地味ですが、看板がかかっています。
はじめて来た時は迷子になりそう。戸惑ったうえ、何とか少し奥の「帳場」へ。若い外国人の女の子がてきぱきと対応。前払い1500円は、貧しい我が身には痛いけど、ここは箱根。ひきつった笑顔で支払いを済ませて、鈴のついた靴用のロッカーキーを受け取ります。
黒色を基調とした建物の中はアロマが香りますが、やはり人工的。一応、柱には古民家の木材が使われています。ここまでは期待通りです。
とりあえずおなかすいた~。
少し先にお食事処「森のめし 八里」が見えてきました。
注文ランクで対応が違う食事処「八里」
食事処の前にメニューがありますが、
高っ!
どうやら炙りが基本で、「森のめし」で想像していた小料理のコースは3000円から。上コースの「紀州」にいたっては5200円!
こ、これは…私とは身分が違う。
ポスターを飾っている串に刺さった川魚のヤマメは、20センチほどのサイズで900円。「骨まで食べられるように焼きますので40分以上かかります」とある。
きっと本マグロとか使った高級な味なんだよ、うん、そうそう…と自分をだましてのれんをくぐりました。
店の真ん中に囲炉裏があって、いかにも古民家!なかなか雰囲気は良い。
「お客様は炙りですか?コースですか?」
突然のお姉さんの質問!
訳がわからず、「普通の丼ですけど。料理で席が違うんですか?」
「では、お客様はこちらの席へどーぞ」
囲炉裏をよそに案内されたのは、壁際のカウンター席。感じわるーい。料理で区別しているんだろうけど、貧乏ライターくろたまには、こたえた…。
待つこと10分「まぐろすきみ丼です」
これは…!いかにも安そうな白ピンクのネギトロがごはんに乗っている。これで1500円とは…。
申し訳なさそうに十数粒のイクラが乗っています。
記憶では、京王高尾山口駅直結の極楽湯で食べたマグロぶつ切りの山掛け丼が900円。小田急グループコスパ悪いんじゃね?
確かに極楽湯のセルフサービス食堂とは違うけどさ、ここは区別(差別?)された壁際ですけど…結局ほとんど味わうことなく胃袋におさめて、森の「ぼったくり」めし処を後にしました…
「森の温泉」湯は並み。感動も落胆もない
とりあえず食べたところで、いよいよ温泉のある「湯楽庵」に向かいます。
玄関入り口に靴用のロッカーがあって、帳場で渡されたカギの番号の所に靴を入れるシステム。
ここにはアルバイトらしき女子がスタンバイしていて、質問やただ風呂連中がいないかチェックしている様子。
玄関は二階らしく、男湯も女湯も、湯船のある一階まで、けっこうな階段を降りる必要があります。
脱衣場のロッカーは、特に番号制ではなく、無料で好きな所を使えるけど、縦長のいわゆる狭いロッカー。日帰りならともかく、箱根の旅館帰りに立ち寄った大荷物組の運命が気になります。
お約束の温泉分析表は…
湯船入り口付近に何気なく張ってありました。
塔ノ沢にある源泉3ヶ所の混合泉で、温度37.5度。
毎分湧出量は100リットルと聞いていたけど記載なし。
アルカリ性温泉で、不眠症の私にはお気に入りの泉質です。
その下に…
「加温」…加温しています
「循環ろ過」…清潔を保つため循環しています
「消毒」…塩素系薬剤を使用しています
ふむふむ…「うん?」
「加水」…加水しています。理由…多客時と清掃後に湯量を確保するために加水しています
これは残念なお湯かも…。いやいや、落胆するのはきっとまだ早い!ともかくレッツ入湯!
まずは、ジェットバスのある内湯から。
「味気ない」というのが率直な感想。
アルカリ性温泉なのに、おふろカフェ総本山の昭和レトロ玉川温泉のようなぬるぬる感もなし。
また、同じアルカリ性の高尾山極楽湯のような、クセのあるアルカリ臭もなし。
ちょっとだけお肌すべすべで、ほんのり塩素が香ります。いうなればサラサラした湯。
内湯に見切りをつけて、20人くらい入れそうな岩の露天風呂に向かいます。
やはりここも泉質は内湯と同じ。循環装置の性能が良いらしく、つねに数人浸かっていてもお湯はきれい。
このクセの無さで、箱根塔ノ沢の源泉3ヶ所を使っているというシチュエーションが、何とか気分を盛り上げます。
隣の「見晴らし湯」に行くと、森の雰囲気が一気に迫ってきます。はるか斜面の下に国道1号の車が往来、見上げると木の葉の切れ間に青空…
なんてこと無いお湯だけど、ここは箱根。
来て良かったなあ~…。
溜まった仕事もそのまま残して、東京から逃げて来るには良いところだなぁ。
何も考えないことが、なんて大事なんだろう。
ーそうです。それが箱根の魔力。すっかり洗脳されてしまいました。
他に気がついたことは、洗い場が内湯と露天にあり、露天の皆さんかなり寒そうに洗ってました。
すると、スタッフのお兄さんがなにやら、あおる羽根のようなものとアロマの入ったバケツを手に「ロウリュウサウナ始めまーす」
どうやら一時間ごとにロウリュウがあり、なかなか評判な様子。疲れきっていたので今回はパスしたけど、15分後に出てきた若者たちに聞くと「超熱かったけど、水風呂サイコーっす!」
今後はサ道をきわめると、デイスパの楽しみが倍増すると思った次第です。
風呂上がりの休憩は平日なら合格
さてさてお湯を味わった後は、けっこうな階段を上がって二階の休憩房へ。森を眺めながらマンガを読めるスペースや、女性専用のスペースがあり、平日とあってゴロゴロゆっくりできました。
しかし、良く見ると壁に
「荷物を置いての場所取りは禁止」の旨の張り紙。
土日のゴロゴロスペース争奪戦の激しさを想像させる内容で、どうやら殺伐としているようです。
建物の奥には「うたた寝処」があり、アロマの香りが眠りを誘います。パーティションで仕切ってあるので安心し、疲れきって東京から逃げて来たので、小一時間ほど爆睡してしまいました。
睡眠の後は、また階段を降りて、箱根の湯。そしてまた休憩。ーいやいやこれはたまらない。世間の真面目なサラリーマンが汗水流してあくせく働いている平日だからこそできる贅沢です。階段踏み外した私の人生ですが、これも悪くないなぁ(虚勢)。
ゆっくり過ごして、夕方にチェックアウト。帰りは特急料金1100円余り奮発して、箱根湯本からセレブにロマンスカーで帰宅しました。
口コミ
他の利用者の方がどのような感想を抱いているのか、調べてみました。
→確かに、「箱根らしさ」という点ではあまり個性的なものは無いように感じますね。
→箱根料金なんでしょうか、やはり少しお高いのが気になりますよね。
まとめ
箱根湯寮は、森のめしのコスパ悪くてカネのない人種にはつらい雰囲気のほか、時間制で4000円余りする貸し切り風呂をたくさん備えるなど、良くも悪くも資本主義のシステムにマッチしています。
一方で、平日に行けば、特に代わり映えしない塔ノ沢の湯を楽しみ、森を眺めながら休憩できるなど、あなどれない実力もあります。
都心からだと、往復のロマンスカー代込みで、食事してだいたい10000円くらいが相場。
京王線で高尾山に行って極楽湯に浸かれば、4000円くらいなので、コスパは正直、京王の方が上。泉質の良いデイスパも都心にたくさんありますので、わざわざ出かけるまでもない。
しかし、「箱根の湯」にリアルに浸かるという現実は、悲しいかなやはり替えがたい。仕事や人生に疲れた時、フラッと出かけられる「箱根のスーパー銭湯」、とりあえず☆3です。
https://yumeguri.club/saiyo
店舗情報・アクセス・料金・営業日・営業時間
- 店舗名
- 箱根湯寮
- レビュー評価
- ★★★☆☆(3)
- アクセス
- 〒250-0315
神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤4
- ホームページ
- https://www.hakoneyuryo.jp/
- 電話番号
- 0460-85-8411
- 営業時間
- 10:00-21:00
- 定休日
- 年中無休
- 平日大人料金
- 1,500円
- 休日大人料金
- 1,500円
- 料金メモ
- 無し
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あははははっ。この温泉ルポは面白い。湯ー漏らす。
人生の哀感が漂っていて文学的。それでいてこの温泉の肝をしっかり伝えている。見事なルポです。
くろたまレポーターの次にも期待します。
レビューが良いので湯寮に行き、首をひねって帰ってきて、車でくろたまさんのレポートを見つけ、そうそうそうそうと首がもげるほど頷きました。面白いし本質ついているしこの人はなんだろうと思ったらやはりただものではないのですね。くろたまさんのは参考にします。
芋たんじょーさん、くろたまです。コメントありがとうございます。ご指摘のように箱根湯寮は宣伝上手なので、実際に行ってみて、あれっ?と思う方も多いと思います。それを見抜いた芋たんじょーさんは、箱根ブランドに洗脳されなかった温泉通ですね。今後もコメントよろしくお願いいたします。