憧れの多摩ニュータウンもいまや高齢化。
その象徴・永山地区の駅前にある「竹取の湯」は、まさに団塊世代の楽園だった!
岩盤浴や炭酸泉も揃うものの、さながら巨大なフツーの銭湯。
座布団を枕に畳に寝転んで、テレビ見ながらだらだら過ごせる、究極の癒し系施設をレポートしまーす!
Contents
トンネルを抜けるとそこは団地だった
新宿から京王線で調布駅へ。京王相模原線に乗り継いで多摩川を渡り、梨園が広がる稲城市のトンネルを抜けると、山の中に団地が広がる多摩ニュータウン。
約30分ほどで京王永山駅に到着しました。
多摩ニュータウンの歴史
高度経済成長期に人口が急増し、不足する住宅を確保するために計画された「多摩ニュータウン」。稲城、多摩、町田、八王子の4市にまたがる、約2900ヘクタールの壮大な開発は、私こと貧乏ライターくろたまが生まれた1971年に、永山地区の街開きからスタートしたのです。
当時は、約40平方㍍の団地に家族4人で暮らすことが憧れの住まいでした。
ところが、1979年のオイルショック以降、住宅需要が伸び悩み、一戸建てなど多様な開発が求められるようになります。
現在は、京王線も相模原市の橋本まで延伸。宅地も広がり、ベネッセなどの企業誘致や高層マンションも建設されるなど発展しています。
一方、くろたまの親たち団塊の世代が住む永山地区などは、くろたま世代の子どもたちが、交通が比較的不便で古くて狭く、エレベーターもない団地よりも、都心のタワーマンションを選ぶなど、戻って来ないため高齢化が進んでしまいました。
建て替えや住み替えも進んでいるようですが、「買い物難民」という言葉に象徴されるように、出歩くことすら難しい高齢者が多く、高知県の山中の村より高齢化が進んでいることが話題になるほどです。
そんな社会の縮図のようなエリアにある永山健康ランド竹取の湯。ボウリング場併設のようで、駅を出てすぐに建物がそびえ立っています。
竹取の湯_駅から竹取の湯を望むこの日はザーザー降りの雨でしたが、ほとんど濡れずにたどり着けました。
この規模の施設なので、もちろん駐車場も用意されている。
2,000円未満の利用で2時間、2,000円以上の利用で4時間無料。深夜早朝の割引料金の時間帯以外は、4時間は無料ということになる。
入り口は、ビルのショップに入っていくような感じ。
シンプルというか、地味ーな、一見普通の玄関となっております。
超強気な料金設定は、果たしてお得?
玄関をくぐった瞬間、くろたまはあっけにとられた!
3階まである巨大な吹き抜けの空間。なんてバブリーな施設なんだろう!
しかも、雨の日とはいえ、土曜日なのにほとんど客の姿が見えない…
これはいったい何が起きたんだろう。
ともかく、玄関の靴ロッカーにスニーカーを預けて、フロントに向かいます。
フロントでカギを預けて、精算用リストバンドを受け取るシステムで、すべて後払い。
一応料金を確認すると、フロントのお姉さんがにこやかに説明してくれました。
これはいったい?
休日とはいえ、2,300円はかなりなお値段。
他の施設では岩盤浴別だったりと、お風呂だけの価格があるところが多いが、ここは有無を言わさず岩盤浴込みの価格ということになる。
どうしても、お風呂だけに入りたければ、「あさっぷろ(6:30~7:30)終日1,000円」か、「おそっぷろ(22:00~25:00)平日1,300円、休日1,500円」を狙うしかない。
タオルに岩盤浴、館内着込みで、すべて手ぶらで来れますが、ここは天然温泉にあらず。
客が少ないのは、料金フィルターのせいかな?
この日は7月なのに梅雨寒だったので、身体が冷えていた…
さっそくお風呂に向かいます。
期待外れな人工温泉
バブリーな施設のわりに脱衣場は普通の広さで、フロントで受け取ったリストバンドの番号のロッカーを使うシステムです。
使い捨ての歯ブラシやカミソリがあるのは値段的に当然か…
まずは、かけ湯して、露天にある人工温泉「北海道長万部二股の湯」に向かいます。
これは…5人入ればいっぱいな狭さに、ドボドボお湯が注いでいる。
湯船の石はカルシウム石を使っているとのこと。
ともかくレッツ入湯!
うーん…まったくもって普通の銭湯の湯。
人工温泉ということで、何か違いがあるかな?と思ったけど、単なるお湯。
これ目当てで、遠くまで来たので、かなり残念。
隣にあるイベント風呂は、入浴剤が入っているようで、この日は「沖縄黒糖の湯」。
紫色のお湯に甘酸っぱい香料の匂いがして、もはや温泉からかけ離れたけど、これはこれで楽しめるお湯。どうせ天然温泉でないなら、入浴剤を楽しむという発想の転換もありかなぁ…
マニアックなかけ流し源泉マニアには向かないけど、気の持ちようで、くろたま、けっこう割りきって楽しめました。
やけどする岩盤浴
身体も暖まったので、いったん岩盤浴着に着替えて、関東最大級(20種類、60床以上)という岩盤浴コーナーに向かいます。
岩盤浴は、館内着必須で、男女共用。
1つある女性専用を除けば、男性でも女性でも出入り自由。
ここもほとんど客がおらず、貸し切り状態。
麦飯石のお決まりの岩盤浴や、パキスタン産天然岩塩を敷き詰めたサウナのように蒸し暑い部屋があって、全体的に温度設定がかなり高め。
中でも、面積日本一というバドガシュタイン鉱石を敷き詰めた部屋は、床の通路までかなり熱くて、くろたま、足の裏をやけどしてしまいました。
健康になる岩盤浴で、ケガをするとは本末転倒で、あわててクーリングルームに駆け込みます。
それにしても、ここの岩盤浴は、どの部屋も広い上、クーリングルームも誰もいないけどやたら広い…空き待ちのようなことは発生しにくく、ゆっくりできる。
これらに使う電力(火力?)を節約すれば、もう少し料金下げられるんじゃね?
と思いながら岩盤浴コーナーを後にしました。
残念なお蕎麦、ガラガラな館内
そろそろお昼か…お腹すいてきた。
というわけで、2階の大広間を兼ねた食事処に向かいます。
宴会する中高年が多いのか、ビールやおつまみなどがメニューにたくさん載っています。
「デイスパの料理は天ざる蕎麦にあり」
という妄想にとらわれているくろたまは、天ざるを注文したかったけど、この日は給料日前で財布の中身がギリギリ…
泣く泣くざる蕎麦(690円)の大盛り(150円増し)を注文しました。
食事処は新聞を持ち込んで広げるシニアや、寝ているのか倒れているようなシニアがちらほら。
大音量のテレビは競輪のチャンネルに設定されており、ずーっとレース情報が流れています。
ああ、場末だなぁ…
しばらくしてざる蕎麦大盛りが到着。
これは!量こそ大盛りですが、スーパーの安い蕎麦を茹でただけのようなヘナヘナなお蕎麦。
つゆも薄くて少なく、食べている途中でなくなってしまいました。
かなり残念な思いで、食事処を後にしました。
館内を見渡すと、ダーツコーナーが。
誰もいません…
奥の方には、ボルダリングの壁まであります。
都内とは思えないクオリティ…子供だましか!
この他、ゲームセンターや、マンガコーナー、ドクターフィッシュに足を掃除してもらうコーナー。
あぁ、完全に地方に遊びに行った時にある暇つぶしコーナーだ…
団体で来てノリでお金を使ってしまうアレだ…
そして、ボウリング場併設らしく、館内着でボウリング場に行ける専用のエレベーターまであります。
どれも心をひかれなかったくろたまは、たくさんある休憩室の一つ「銀の間」でくつろぐことに。
テレビで人気作家のインタビューをやっており、面白かったので、座布団二枚重ねて枕にして、畳でごろ寝しながら、いつの間にか寝落ち。
これは気持ちいい!
「おふろCafe」のような若者向けのコジャレた「おこもり」より、もはや若くないくろたまには、昭和世代のヘルスセンターがお似合いと実感しました。竹取の湯の真髄ここにあり!
座敷の他には、リクライニングシートがあり、女性専用シートもある。
建物の広さにあわせた休憩スペースはそれなりに確保されている様子。
炭酸泉、電気風呂、サウナもフツー
少し寝て楽になったので、まだレポしていないお風呂場の内湯探索に、再び脱衣場へ。
まずは、口コミでも評価が高かった高濃度炭酸泉へ。
すでにキャパ5人のところ3人のシニアが入っています。
うーん…いたってフツーなデイスパの炭酸泉。
いつ導入したのかわからないけど、当時としては画期的だったのかも。
他にも、寝ころび湯、ジェットバス、珍しいところでは、昭和世代に懐かしい電気風呂がありました。
電気風呂は、腰のマッサージらしく、時折ビリビリきます。
ああ…昔、学生時代に通った銭湯の記憶がよみがえる…あの頃は女の子に飢えていたなあ(今もだけど…)
メインの浴槽、寝湯、腰かけ湯、ジェットバス、電気風呂などは、すべてつながっていて、お湯が循環している。
すべて沸かし湯とのことなので、これはまあ問題はない。
お湯の温度のメーターは40℃あたりを示していたが、それほど熱くは感じなかった。
そして、お約束のサウナ。
15人くらいのスペースで、温度は90度。先客の2人が知り合いらしく、大声で話していますが、コロナウイルス対策上好ましくないなあ…
口コミでは、ロウリュウが好評だけど、コロナ対策かお休みしているのが残念。
そして、かけ水して水風呂へ。
水温計は19度ですが、この日は外が寒かった分、ちょっと寒くなってきました。
いつもなら、水風呂キターって感じだけど、この日は早々に退散。やはり整うかどうかは体調にもよるなあと実感。
寒くなってしまったので、最後にシルキー風呂へ。
マイクロバブルのこのお湯が、この日一番のお湯でした。というか、ほかにあまりまともなお風呂がなかったので、消去法の結論なのが残念。
ゆったりお湯に浸かっていると、館内アナウンスが。何事かと思ったら、
「本日13時より、大広間でショーがあります。ぜひお越しください」とのこと。
よし、それなら見てみようとのことで、お風呂を後にして、大広間に向かいました。
今では貴重な演芸ショーはシニア向けのパラダイス
大広間では、スタッフが舞台の準備中でしたが、見渡すとたくさんのシニアの男女がビール片手に宴会して騒いでいます。
マスクはもちろん無し。
ああ、予想通りの展開。
いよいよ、演芸ショーが始まりました。
スポットライトが舞台に当たり、白粉を顔に塗ったお兄さんが、演歌に合わせて舞っています。
一曲終わって、拍手が起きたその時、数名のシニアが、お札(おそらく千円札)を持って舞台のお兄さんに渡しています!
ああ、これは昭和の光景だ…そうか、くろたまは勘違いしていた…
別にお湯がどうかとか、岩盤浴がどうかとか、シニアたちにはあまり関係無いんだ…
お湯以外の余暇を楽しむために高い料金払っていたんだ…
日帰りよりも泊まりがお得
くろたまは妙に納得して、会計を済ませるためにフロントへ。
料金が少し高めでしたねと、水を向けると、お姉さんが、
「ここは、翌朝まで無制限なんです。スーパーシートという部屋があって、平日は550円、金土日は850円の追加料金で、泊まれる、というか泊まりとははっきり言いませんけど、そういう方もいらっしゃいます」とのこと。
なるほど…
お湯を楽しむのではなく「駅チカ」「手ぶら」「お泊りできる場所」として重宝されているのか…と察し。
カプセルホテルに泊まるよりはいいかもといったところなのかも知れない。
口コミ
他の利用者の方がどのような感想を抱かれているのか、調べてみました!
→古き良き時代を残しつつ…というわけではない様子。値段相応でないのが本当に残念。時代に取り残されてしまっているようです。
→宿泊目当てじゃなければ強気の値段設定になかなか納得いかないのかなと…天然温泉だったら感じ方が違っていたのかもしれません。
→飲食メニューが充実している施設が多々あるので、ここはもう少し頑張って欲しいところですよね。
まとめ
雨が止んでいたので、改めて竹取の湯を見返します。
昭和、平成、バブル時代の遺産のような場所だけど、シニアとっては居心地の良い空間となっていました。
昨今のコロナで宴会がほぼ消滅していてかなり厳しい状態というのが伺えます。
なくなって欲しくないような…でもリニューアルしないと先はなさそうとか…
余計なことを考えてしまいました。
そうか、ここは、高齢化する永山地区のシニアたちのいこいの広場。
しかも飲んで騒いで泊まれる最高な施設なんだ…
くろたまは、たぶんもう行かないけど、ここはそっとしておこう、そんな気分になりました。
店舗情報・アクセス・料金・営業日・営業時間
- 店舗名
- 永山健康ランド竹取の湯
- レビュー評価
- ★★☆☆☆(2)
- アクセス
- 〒206-0025
東京都多摩市永山1-3-4ヒューマックスパビリオン永山3F~5F
- ホームページ
- http://www.taketorinoyu.com/
- 電話番号
- 042-337-1126
- 営業時間
- 朝9:00~翌朝8:30
- 定休日
- 年中無休(設備点検のため、年数回時間短縮・休館あり)
- 平日大人料金
- 2,100円 館内着歯ブラシタオル岩盤浴
- 休日大人料金
- 2,300円 館内着歯ブラシタオル岩盤浴
- 料金メモ
- あさっぷろ 朝6時~朝7時半 お風呂のみ1,000円
おそっぷろ 夜22時~深夜1時 岩盤浴なし 平日1,300円 土・日・祝1,500円
おそっぷろ 夜22時~深夜1時 岩盤浴あり 平日1,800円 土・日・祝2,000円
深夜追加料金 深夜1時~朝5時 平日+1,300円 金・土・日・祝+1,500円
- 【お店から】
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