次亜塩素酸は水とナトリウムで用途が違う!!
次亜塩素酸水は消毒用アルコールの代用?空中噴霧の効果は?人体への影響は?コロナに効いても使用用途が大事!次亜塩素酸ナトリウムは塩素系消毒!温泉や浴槽の清掃に!
「次亜塩素酸水」がコロナに効くのか?ウィルスの不活化になるのか?
資料がリリースされたが、メディア報道され方で次亜塩素酸水の有効性が疑われた。
主に教育現場にて使えるとなるので大きな潮目になった。
新型コロナが感染拡大を前にして、消毒用アルコールの代替として次亜塩素酸水の有効性が議論になっていいる。
消毒の効果があっても人体への影響があるのか?
消毒用アルコールの代用として空間噴霧への期待は?
教育現場やイベント開催への後押しになるのか、消毒と除菌を紐解いていきたい。
この記事のポイントは!
- 次亜塩素酸って?
- 次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムって?
- 結局コロナに効くの?
- 温浴施設の消毒や洗浄って?
Contents
- 1 次亜塩素酸水をめぐるリリースと混乱。誤報?誤認識?を紐解く
- 2 経済産業省外郭機構NITEの動き~中間試験から最終報告~広がりからコロナ有効と活用へ
- 3 次亜塩素酸水溶液普及促進会議の動き~製造の観点から誤解を解く動きと最終報告を受けて啓蒙へ
- 4 厚生労働省の動き~経済産業省と消費者庁と連携しリリース~
- 5 次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム違いは?アルカリと酸。どっちもコロナに有効性!
- 6 次亜塩素酸ナトリウムはハイター!コロナへの有効性は先行してリリースされてます!
- 7 次亜塩素酸水はなぜコロナ対策に注目を集めるか?
- 8 次亜塩素酸水の論争!コロナに有効!噴霧や人体にはNGと発表!
- 9 温浴施設や温泉の消毒は?レジオネラ菌との戦いかコロナに通づる!
- 10 致死率が高いレジオネラ防止対策って?定期的な基準を満たした塩素系消毒!!
- 11 まとめ:温浴施設の水質管理は徹底した規定がある!次亜塩素酸が消毒のニューヒーロー!正しい使い方が大事!
次亜塩素酸水をめぐるリリースと混乱。誤報?誤認識?を紐解く
新型コロナウイルスの感染拡大が、いまだ続くなか消毒用アルコールの代替として使用されてきた次亜塩素酸水に関する一連の報道が社会的な混乱を招いた。
経済産業省の製品評価技術基盤機構(NITE)が5月末に公表した次亜塩素酸水の新型コロナに対する有効性評価試験の中間結果を受け、一部のメディアが「次亜塩素酸水の効果はない」という印象を与えるような伝え方が波紋を呼んだ。
筆者ポイント!!
- コロナへの有効性までストーリーがあった。誤解が起きた。
- NITEの公表した資料が鍵。これが科学なので難しい!
- 有効性はあり!活用を後押し!
NITEは工業製品などに関する技術上の評価や品質に関する情報の収集・提供などをその主たる業務。バイオテクノロジー分野と化学物質管理分野化学物質管理に関する法令の施行支援や化学物質情報の収集・提供、化学物質のリスク評価、管理、コミュニケーション手法などの検討を行っている。
今回はコロナと次亜塩素酸の効果を検証試験をしている。
経済産業省外郭機構NITEの動き~中間試験から最終報告~広がりからコロナ有効と活用へ
NITEは段階的に次亜塩素酸水のコロナの有効性を検証試験を踏んでいた。中間発表から最終報告までの経緯を確認してみた。
①NITEの中間結果(2020年5月22日)は選択肢として…
実施機関である国立感染症研究所と北里大学の試験結果が食い違うなど、結果にバラツキがあったことは確かだ。ただ中間結果のまとめでは「効果についての検証試験は継続中であり、まだ結論は出ていない」と結ばれている。つまり中間結果では効果があるとも、ないとも言っておらず「現時点では結論を出すのは難しい」としている。
確かにリリースをみると有効としつつ、消毒方法の選択肢の広がりの期待をし検証としている。
新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します~物品への消毒方法の選択肢が広がります~ https://www.nite.go.jp/data/000109233.pdf
②試験結果の積み重ね…
北海道大学玉城名誉教授と北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターが、NITEの中間報告対象と同じ条件下での第二弾の試験結果を発表(2020年6月1日)
次亜塩素酸水(PH5.5、40ppm)の新型コロナウイルスが30秒で不活化されたという発表。
今回の実験で、微酸性次亜塩素酸水(pH5.5、有効塩素濃度40ppm)は前回の強酸性次亜塩素酸水に引き続き(つまり強酸性の次亜塩素酸水)、新型コロナウイルスに対する強力な不活化効果があることが実証された。
次亜塩素酸水(pH5.5、有効塩素濃度40ppm・電気分解方式による)の新型コロナウイルスに対する不活化に関する実証試験(抜粋)
政府系の独立行政法人製品評価技術基盤機構「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価に関する検討委員会」は2020 年5 月28 日、中間報告を発表しその中で、実証実験を担当した二つの研究所の実験結果に必ずしも一貫性がないことから、引き続き検証試験を継続を担当した二つの研究所の実験結果に必ずしも一貫性がないことから、引き続き検証試験を継続すべきであると結論付けている。
消毒用アルコールなどがひっぱくしている現状において、強酸性(pH2.7 未満)だけでなく微酸性(pH5.5)の次亜塩素酸水が新型コロナウイルスに対して有効と判断されたことの意義は非常に大きい。すなわちアルコールの代替品ではない、独立したより安全な消毒剤としての次亜塩素酸水の有効活用は新型コロナウイルス感染症予防対策に大きく寄与することが期待できる。
③最終報告消毒方法への有効性と活用へ
新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について最終報告(2020年6月26日)
今まで公表済みの結果に加え、新たに2種の界面活性剤、及び一定の濃度以上の次亜塩素酸水が、新型コロナウイルスの消毒に対して有効であることが確認された。
新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について最終報告をとりまとめました。~物品への消毒に活用できます~(抜粋)
6月25日、最終回となる第5回検討委員会を開催し、国立感染症研究所、学校法人北里研究所、国立大学法人帯広畜産大学、国立大学法人鳥取大学及び一般財団法人日本繊維製品品質技術センターと共同で進めていた新型コロナウイルスを用いた検証試験結果について審議を行い、最終的な報告をとりまとめました。結果の概要は、以下のとおりです。(赤字部分が、今回委員会で新たに判断された事項です。)
(2)次亜塩素酸水は、以下のものを有効と判断しました。
・次亜塩素酸水(電解型/非電解型)は有効塩素濃度35ppm以上
・ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは有効塩素濃度100ppm以上
なお、今回の検証結果を踏まえると、
次亜塩素酸水の利用に当たっては以下の注意が必要であることが確認されました。
①汚れ(有機物:手垢、油脂等)をあらかじめ除去すること
②対象物に対して十分な量を使用すること独立行政法人製品評価技術基盤機構 消毒手法タスクフォース
https://www.nite.go.jp/data/000111306.pdf
次亜塩素酸水溶液普及促進会議の動き~製造の観点から誤解を解く動きと最終報告を受けて啓蒙へ
筆者ポイント!!
- 製造業の視点と訴え。
- 次亜塩素酸水の効果を実証啓蒙崇拝。
- 空間噴霧を推奨したいスタンス。
促進会議は空間噴霧の有効性とメディア報道の不公正を牽制した。
メディア誤報による国内でのお客様の不安と混乱を収束するために次亜塩素酸水溶液の新型コロナウィルスへの有効性と空間噴霧の有効性、健康への安全性を私たち自身の力で証明し納得させるため会議が設立された!
次亜塩素酸水の新型コロナウイルスへの有効性と空間噴霧の安全性についての科学者による記者会見について(抜粋)
5月28日の経産省の委託を受けたNITEの中間発表を心ないメディアの不公正な報道がきっかけとなり誤った風評と誹謗中傷がわが業界を襲いました。
一夜にして私たちの誇りと信頼と家業が失われる厄災に見舞われたのです。全く科学的論拠を持たない誹謗中傷と思い込みをもとに作られた記事やテレビ報道により国内に次亜塩素酸水溶液が効果がなくまた危険なものであるという心証操作が行われました。この状況を危惧した科学者と一部のメーカーが中心になり6月11日に有志団体である「次亜塩素酸水溶液普及促進会議」が記者会見を行いました。この記者会見を聞きつけた全国のメーカー、販売者、ユーザが駆けつけ熱いメッセージを送ってくれました。会見をもってしてもなお不公正な報道が流されました。その後、多くの賛同者・同志の方々との情報のやり取りや関係当局への働きかけにより文部科学省の学校への使用禁止の通達は6月16日に修正されました。
一方でこのひと月足らずの間に次亜塩素酸水溶液の空間噴霧を中止した施設で感染症が流行るなどの恐れていた報告もありました。新型コロナウィルスに対する最強の兵器としての次亜塩素酸水溶液を日本と世界の感染防止に役立つことを改めて証明しなくてはなりません。 メディア誤報による国内でのお客様の不安と混乱を収束するために次亜塩素酸水溶液の新型コロナウィルスへの有効性と空間噴霧の有効性、健康への安全性を私たち自身の力で証明し納得させなくてはなりません。
一般社団法人次亜塩素酸水普及促進会議
https://akarimirai.com/jia/
厚生労働省の動き~経済産業省と消費者庁と連携しリリース~
NITEの次亜塩素酸水のコロナ有効性の検証をもとに、経済産業省と消費者庁で共同に「新型コロナウィルスの消毒・除菌方法についてをリリース」を公開した。
リリースの詳細は…後述しますが!
消毒と除菌の違いを公開されていたので確認しておきたい。
減らすか滅するかが鍵となる!
「消毒」は、菌やウイルスを無毒化することです。
「薬機法」(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づき、厚生労働大臣が品質・有効性・安全性を確認した「医薬品・医薬部外品」の製品に記されています。
「除菌」は、菌やウイルスの数を減らすことです。
「医薬品・医薬部外品」以外の製品に記されることが多いようです。「消毒」の語は使いませんが、実際には細菌やウイルスを無毒化できる製品もあります(一部の洗剤や漂白剤など)。
注意したいのが、全ての菌やウイルスに効果があるわけではなく、新型コロナウイルスに有効な製品は一部であることである。
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム違いは?アルカリと酸。どっちもコロナに有効性!
「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」は、名前が似ていますが、異なる物質ですので、混同してはいけない。
「次亜塩素酸ナトリウム」は、アルカリ性で、酸化作用を持ちつつ、原液で長期保存ができるようになっています。ハイターなどの塩素系漂白剤が代表だ。製品の市販で手に入れて高濃度である。希釈して使用する。
「次亜塩素酸水」は、酸性で、「次亜塩素酸ナトリウム」と比べて不安定であり、短時間で酸化させる効果がある反面、保存状態次第では時間と共に急速に効果が無くなります。ユーザーが製造し使用濃度が設定できてしまう。
次亜塩素酸水は殺菌科の一種で電気分解で生まれた!
食塩水や塩酸を電気分解して生成した「次亜塩素酸水」には、食品添加物(殺菌料)に指定され、規格が定められたものもあり、食品加工工場における野菜の洗浄などに使われている。
また、次亜塩素酸ナトリウムを原料に、酸を加えたり、イオン交換等をすることで酸性に調整したものも「次亜塩素酸水」として販売されています。
これには規格や基準が無く、成分がはっきりしないものもある。
有効塩素濃度を決めて希釈せず使用する。
「pHを調整した次亜塩素酸ナトリウム」と称して販売する例があり、アルカリ性の「次亜塩素酸ナトリウム」と酸性の「次亜塩素酸水」の混同の一因になっています。
次亜塩素酸ナトリウムはハイター!コロナへの有効性は先行してリリースされてます!
「次亜塩素酸ナトリウム」は身近なもので言うとキッチンハイター!
これの希釈液を「空中噴霧すると人体に害がある」ということであ
たまーにプールでムセたりするのもそのせいなのかな…。
ただ、
厚労省などではハイターを希釈した水で手すりなどを吹くことは推
次亜塩素酸ナトリウムのコロナへの活用方法は…人体はNG!
食器・手すり・ドアノブなど身近な物の消毒には、アルコールよりも、
熱水や塩素系漂白剤、及び一部の洗剤が有効!
- 市販の家庭用漂白剤を、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.05%になるように薄めて拭きます。
- 水拭きをする。
次亜塩素酸水はなぜコロナ対策に注目を集めるか?
参考文献:厚生労働省:次亜塩素酸水の定義
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf
「次亜塩素酸水」は何者?殺菌科の一種。
- 食塩水や塩酸を電気分解して生成した次亜塩素酸を主成分とする水溶液。
- 無色の液体で,においがないか又はわずかに塩素のにおいがある。
- 強、弱、微酸性とし分かれ、それぞれ定義(製法等)、有効塩素の含量等が規定されている。
- 塩素濃度とpH値と電極の関係性と覚えよう。
↓詳しく知りたい人向け↓
- 強酸性次亜塩素酸水は有効塩素 20~60mg/kg を含む。pH2.7 以下。
塩化ナトリウムを電解し陽極側から得られる水溶液。 - 弱酸性次亜塩素酸水は有効塩素 10~60mg/kg を含む。pH2.7~5.0。
塩化ナトリウムを電解し陽極側から得られる水溶液とこの水溶液に陰極から得られる水溶液に加えたもの。 - 微酸性次亜塩素酸水は有効塩素 10~3080mg/kg を含む。pH5.0~6.5。
隔膜で隔てられていない電解で陽極及び陰極で構成されたもの。
有効性について~微生物に効いて食品にもOK?~であればコロナに期待がかかる。
微酸性次亜塩素酸水のポイント!
- 微生物に効くのでコロナへの期待がある
- 食品にも使えて安全
各種微生物についての殺菌効果
微酸性次亜塩素酸水(pH5.2、有効塩素濃度 57mg/kg)は、培養した大腸菌、黄色ブドウ球菌、MRSA、サルモネラ菌、緑膿菌、レンサ球菌、枯草菌、カンジダ、黒コウジカビの各種微生物に対し効果があり。3分でほとんどが死滅した。
一般消毒剤・殺菌剤の次亜塩素酸ナトリウムと比較して効果的な殺菌効果を示している。
食品に対しての殺菌効果
カットレタス、カットキャベツ、カイワレダイコン、鳥ささみ肉の各種食材
を次亜塩素酸ナトリウム(200 mg/kg)と微酸性次亜塩素酸水で処理し、一般生菌数の測定を行った。
その結果、微酸性次亜塩素酸水処理後の菌数は、未処理
の場合と比較して菌が減少しており、次亜塩素酸ナトリウム処理との比較においても約 1/3 の有効塩素濃度でほぼ同等の効果が得られる。
食品中の栄養成分に及ぼす影響は?完全食品前に除去されていれば問題ないが着地点。
微酸性次亜塩素酸水の主成分は次亜塩素酸であり、次亜塩素酸は強力な酸化作
用を持つ。そのため、食品中の成分に影響を与える可能性があるとしている!次亜塩素酸水が使用されている主な食品について、栄養成分に及ぼす影響を検討しつつ。
食品健康影響評価を求められた2種類(微と弱)の次亜塩素酸水は、使用後、最終食品の完成前に除去される場合、安全性に懸念がないとした。
次亜塩素酸水の論争!コロナに有効!噴霧や人体にはNGと発表!
NITEや次亜塩素酸水の有効性を示した最終報告が公開された。
(新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について最終報告をとりまとめました。~物品への消毒に活用できます~)
酸化作用により、新型コロナウイルスを破壊し、無毒化する。
いくつかの製法があるが、一定濃度の「次亜塩素酸水」が新型コロナウイルスの感染力を一定程度減弱させることが確認された。
参考文献:新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等について(製造・販売事業者の皆さまへ)
新型コロナウイルスへの消毒や除菌効果をうたう商品は、目的に合ったものを正しく選びましょう。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の検証を受け、厚生労働省、経済産業省と合同で新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について現在分かっていることをまとめました。⇒ https://t.co/d5A644kjmW pic.twitter.com/xxrtPxX52S— 消費者庁 (@caa_shohishacho) June 26, 2020
次亜塩素酸水のコロナへの活用方法は…あくまでもモノに!
- 消毒したいモノの汚れをあらかじめ落とす。
- モノはOK。手指は未評価。
- 有効塩素濃度80ppm以上。
- 対象のモノをヒタヒタに濡らして20秒おく。
- 布やペーパーで拭き取る。
・塩素に過敏な方は使用を控えるべきこと。
・飲み込んだり、吸い込んだりしないよう注意すること。
・次亜塩素酸水を、まわりに人がいる中で空間噴霧することはお勧めできないこと。
人体と空間噴霧(スプレーや燻蒸)については推奨されない!
空間噴霧の定義
「空間噴霧」は、加湿器などで広く空間に向けて「次亜塩素酸水」の噴霧とする。
スプレーで手元に吹きかけるような動作は含みまないとしているが…人体に対しては否定的観点が伺える。
参考文献:新型コロナウイルス対策における「次亜塩素酸水」の空間噴霧について(ファクトシート)
新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスに対する消毒に関する見解
- 室内空間で日常的に物品等の表面に対する消毒剤の(空間)噴霧や燻蒸をすることは推奨されない。
- 路上や市場と言った屋外においてもCOVID19やその他の病原体を殺菌するために空間噴霧や燻蒸することは推奨されない。
- 外であっても、人の健康に有害となり得る。
米国疾病予防管理センター(CDC)医療施設における消毒・滅菌に関するガイドラインの中での見解
- 消毒剤の(空間)噴霧は、空気や環境表面の除染方法としては不十分であり、日常的な患者ケア区域における一般的な感染管理として推奨しない。
厚生労働省の見解
- 消毒剤や、その他ウイルスの量を減少させる物質について、人の眼や皮膚に付着したり、吸い込むおそれのある場所での空間噴霧をおすすめしない。
- 「次亜塩素酸水」の空間噴霧で、付着ウイルスや空気中の浮遊ウイルスを除去できるかは、メーカー等が工夫を凝らして試験をしているが、国際的に評価方法は確立されていない。
- 現時点で、「空間噴霧用の消毒薬」として承認が得られた次亜塩素酸水はない。
WHO「COVID-19 に係る環境表面の洗浄・消毒」(2020 年 5 月 15 日)(仮訳・抜粋)
●消毒剤噴霧等の非接触手法
屋内空間では、噴霧や霧化(燻蒸、ミスト散布とも)による環境表面への消毒剤の日常的な適用は、COVID-19 については推奨されない。ある研究では、初期消毒戦略としての噴霧は、直接噴霧域外の汚染物質の除去には効果がないことが示されている。さらに、消毒剤の噴霧は、目、呼吸器または皮膚への刺激、及びそれに伴う健康への影響を引き起こすリスクをもたらす可能性がある。ホルムアルデヒド、塩素系薬剤、又は第4級アンモニウム化合物など、特定の化学物質の噴霧や霧化は、それが実施された施設の労働者の健康に悪影響を及ぼすため、推奨されていない。<中略>また、屋外であっても、消毒剤を散布することは人の健康を害する可能性がある。消毒剤を(トンネル内、ロッカー内、チャンバー内などで)人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない。これは、肉体的にも精神的にも有害である可能性があり、感染者の飛沫や接触によるウイルス感染力を低下させることにはならないからである。さらに、塩素や
他の有毒化学物質を人体に噴霧すると、目や皮膚への刺激、吸入による気管支けいれん、吐き気や嘔吐などの消化器系への影響が生じる可能性がある。
https://www.who.int/publications-detail/cleaning-and-disinfection-of-environmentalsurfaces-inthe-context-of-covid-19
温浴施設や温泉の消毒は?レジオネラ菌との戦いかコロナに通づる!
日本サウナ学会は温度の観点からアプローチしている。
4℃では 14 ⽇後、22℃では 7 ⽇後、37℃では 24 時間後まで感染⼒を維持。56℃で
は 30 分後、70℃では 5 分後に感染⼒が喪失した。としている。
つまり…我々が好む温度である、37度~45度帯では感染力が維持されることになる。
浴槽と浴槽水の衛生は塩素殺菌は必要とされており。
施設が施工してれば問題ないといえる!
入浴施設では、充分に原湯又は循環ろ過水を供給することにより溢水させ、塩素消毒等で浴槽水を清浄に保つことが基本なのだ。
参考文献:令和元年度生活衛生関係技術担当者研修会
温泉水に有効な消毒法の選定と実施例
レジオネラ症の知識と浴場の衛生管理
湯水を一時的に貯留する槽及びこれらの設備をつなぐ配管、複雑な循環構造を形
成することが多くなっている。これらの設備における衛生上の措置が不十分である場合、レジオネラ属菌による感染症が発生する!
浴槽をキレイに保つ理由は?菌の繁殖との戦い!
- 一つの浴槽にたくさんの人達が利用する
高齢者から乳幼児まで同じ浴槽を利用 |
健常者以外に免疫力の弱い利用者もいる。 - 浴槽のアトラクション化
ジェット湯、打たせ湯、気泡湯等で温泉水がミスト化する
「気泡が肺に入りやすくレジオネラ症を誘発 - 利用者の免疫力の低下
現代人は免疫力が弱く感染しやすい
レジオネラ症対策との戦いと基礎知識!菌を倒すために。
レジオネラ症って…
- レジオネラ症(legionellosis)は、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)を代表とするレジオネラ属菌による細菌感染症。自然界(河川、湖水、温泉や土壌など)に生息している細菌。
- 代表的なエアロゾル感染源としては、冷却塔水、加湿器や循環式浴槽などがある。
- 国内の発生例は一年中みられますが、特に7月、9月に多く、温泉への入浴や旅行と関連してみられることが多い。
- 現在のところ、予防できるワクチンはない。
レジオネラ症の症状は?致死率の高い感染症。
- レジオネラ症の潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は、2~10日。
- 重症のレジオネラ肺炎と軽症のポンティアック熱がある。
- レジオネラ肺炎は、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られるようになります。
心筋炎などの肺以外の症状、意識レベルの低下、幻覚、手足が震えるなどの中枢ちゅうすう神経しんけい系の症状、下痢、レジオネラ肺炎の特徴とされています。
急速に症状が進行することがあり、命にかかわる。 - ポンティアック熱は、突然の発熱、悪寒、筋肉痛などの症状がみられますが、またそれらは一過性のもので、自然に治癒します。
なんで温浴施設が警戒するのか?菌の繁殖に適している。
- 常に入浴者の体表等に由来する有機物質が補給されているので、これらを栄養源として増殖する微生物が侵入する。
- 化装置のろ材表面と浄化漕の壁面はもちろん、浴槽や循環配管の内壁、配管の継ぎ手などに定着して増殖し、生物膜を形成する。
- 生物膜は、必ずしも循環系だけに発生する訳ではなく、温泉や井水等を利用する場合には、湯水の供給系の衛生管理を怠ると貯湯タンクがレジオネラ属菌に汚染されることがある。
致死率が高いレジオネラ防止対策って?定期的な基準を満たした塩素系消毒!!
- 浴槽水は毎日完全に換水をすることが原則。
- 1週間に1回以上、定期的に完全に湯水を落とし、その際に塩素剤等で浴槽、配管、ろ過装置等を消毒・清掃をする。
- ろ過装置は、ろ材に有機物がたまり、多数の微生物が繁殖し生物膜が発生しやすい場所です。消毒の前に必ずろ過装置の逆洗を行い、汚れを排出します。
- 塩素消毒
高濃度の有効塩素を含んだ浴槽水を、配管の中に循環させることで殺菌する。
次亜塩素酸ナトリウムと併用して、水中で二酸化塩素を発生させる薬剤もみられ、スライムの除去・消毒を行う方法。
温泉ではどうするの?対象なの?温泉地では塩素除菌を嫌う施設が多いのも問題点。
温泉が豊富に湧き出ている施設では水道代はタダですので、常に新鮮で清潔な温泉が楽しめます。しかし現状は、泉質が細くなり湯量や温度が十分でなく、大事に再利用するためにろ過装置の設置を行っているところが大半です。
平成14年7月に宮崎県日向市の「日向サンパーク温泉・お舟出の湯」で、レジオネラ菌の集団感染が発生して、死者7人、被害者総数約 300 人という大惨事となった。
この事件を受けて、厚生労働省は、平成14年10月29日付けの「公衆浴場法第3条第2項並びに旅館業法第4条第2項及び同法施行令第1条に基づく条例等にレジオネラ症発生防止対策を追加する際の指針」において、対策を指摘した。
常時換水されている温泉でも、給湯設備等の水を使用する設備ろ過器、貯留するタンク、配管がある施設は対象内である!
浴槽水の水質基準チェックと管理が大事!!
水質基準は…
- 濁度は、5度以下であること。
- 過マンガン酸カリウム消費量は、25mg/L以下であること。
- 大腸菌群は、50ml中に検出されないこと。
- レジオネラ属菌は、10CFU/100mL未満であること。
- 検査に関する書類は、3年以上保存しなければなりません。
塩素系薬剤に消毒方法~浴槽水の消毒に用いる塩素系薬剤~徹底管理の賜物!
浴槽の消毒には厚生労働省基準で!水質調査!と徹底した管理が必要。温泉、温浴施設の水質管理の業者は次亜塩素酸ナトリウムだけではなく、基準を満たした清掃や消毒を行い我々の安全を守ってくれている!
- 浴槽水中の遊離残留塩素濃度は、少なくとも1日2時間以上、できれば営業時間中0.2~0.4mg/L(水質が中性付近のもの)に保つことが望ましい。
- 自動注入方式による方法と投げ込みによる方法のいずれの方法においても、浴槽水の遊離残留塩素濃度を測定し、薬剤濃度が高くならないよう(1.0mg/L程度までが望ましい。)に注意する必要。
- 浴槽水の遊離残留塩素濃度は、1日に2回程度ではなく頻回(1時間、2時間おきなど)に測定する。
- 記録を3年以上保存する。
- 塩素系薬剤の添加量は、入浴者数、循環式浴槽の形態・仕様、ろ材などの汚れの状況、水質などにより、遊離残留塩素の消費量が異なるため、浴槽水の遊離残留塩素濃度を測定しながら、その量を決める。
まとめ:温浴施設の水質管理は徹底した規定がある!次亜塩素酸が消毒のニューヒーロー!正しい使い方が大事!
- 次亜塩素酸は消毒ヒーロー!
- 次亜塩素酸は正しい使い方が重要!
- 次亜塩素酸水はコロナに有効!
- 次亜塩素酸水は噴霧活用は非推奨!
- 次亜塩素酸水は人体ににも非推奨!
- 次亜塩素酸ナトリウムはコロナに有効!
- 次亜塩素酸ナトリウムは浴槽の消毒には必須アイテム!
- 浴槽水の消毒はレジオネラ菌との戦い!
- 温浴施設は徹底した水質管理を行なっている!