名湯・鶴巻温泉を格安で楽しめる穴場が秦野市内にあった!設備は年季が入っていても、広い露天風呂や熱めのサウナなど、一昔前のデイスパの良さを感じさせる「秦野天然温泉さざんか」。湘南ナンバーの地元民と東海大生がこよなく愛するデイスパをレポートします。
ここでサクッとさざんかを紹介
秦野天然温泉さざんか
小田急線鶴巻温泉駅の次の駅「東海大学前」徒歩5分
ナトリウム・カルシウムー塩化物泉と、ほぼ鶴巻温泉と同じ
平日700円、休日850円と近隣では格安
時間帯によっては東海大生で混み合う場合あり
Contents
新宿から60分、丹沢の山々を望む
新宿から小田急線に乗って快速急行で60分。かつての丹沢・大山詣りの客で賑わった鶴巻温泉駅の次の駅、「東海大学前」で下車します。
前の駅の「鶴巻温泉」には、秦野市が公営でやっている日帰り温泉「鶴巻温泉弘法の里湯」があって、丹沢山地のハイキング客の間で有名です。
弘法の里湯は、昨年秋に私・貧乏ライターくろたまも訪問したのですが、コロナ対応で2時間制となっており、平800円(秦野市民は600円)休1000円(秦野市民も同額)と公営の割には結構なお値段。鶴巻温泉の2つの源泉が楽しめて良かったのですが、サウナがあっても水風呂が無いなど、物足りない感もありました。
鶴巻温泉
はっきりした資料は無いが、明治期か大正時代、地域の井戸水が塩辛く、しかもカルシウムを含んで苦く、飲料用にも灌漑用にも適さなかったため、浴用にしたのが始まりとされる。
カルシウム含有量が牛乳並みに濃厚で、一説には世界一と言われる。
東京の奥座敷として、特に大山詣りや丹沢山地の登山客に親しまれてきた。
地域活性化のため、秦野市が平成22年に新しい源泉を掘削し、地下1000メートルからさらに濃厚な温泉「つるまき千の湯」を得ることに成功。弘法の里湯で楽しむことができる。
このように、古くから知られる鶴巻温泉は、「弘法の里湯」を中心に賑わっている様子。
しかし、口コミでは、地元民は登山客の混雑を嫌うのと料金の安さで「さざんか」推しの様子。駅一つ分、少し離れた場所で張り合っている「さざんか」。いったいどんなデイスパなのか、わくわくして駅前南口の歩道橋を渡ります。
不動産屋の角を右に曲がると、丘の上に黄色い建物が見えてきました。
これは…もともとあったデイスパを10年前に現在のオーナーが買い取ったらしいけど、なんか古さが否めないなあ。かなり年季が入っているなあ…。
振り返ると、市街地越しにどーんと丹沢の山々。それにしても、駅から徒歩5分とはいえ、坂道を登るのはアラフィフの私・貧乏ライターくろたまには辛い。やっとこさ登って、さざんかの駐車場に到着しました。
停まっている車を見ると、ほぼオール「湘南ナンバー」
古びた外観といい、湘南ナンバーといい、これは地元民御用達の雰囲気がムンムンします。
正面に回ると、建物はいたってシンプル。地味な平面型店舗です。東京のさやの湯処や川崎の宮前平湯けむりの庄のような古民家風建物とは違って、古びた一昔前のデイスパといった雰囲気です。
館内はだだっ広い木目調の空間
のれんをくぐって玄関を入ると、そこはフロントではなく、やたら空間の広い木目調の館内が飛び込んできます。見た目はきれいですが、なんかだだっ広い感じ。こういう無駄な空間を作っているのも、一昔前のデイスパあるある感満載で、ある意味好感が持てます。
下足箱は100円返却式で、カギはフロントでロッカーキーと交換するシステムです。
靴を預けてから、だだっ広い館内右手奥にあるフロント前の券売機を目指します。正直、動線も何も関係なく、ただ風呂をしようと思えばできてしまう作り。幕張本郷湯楽の里や、町田の森乃彩のような最新式の自動チェックアウトで動線が完璧なデイスパと比べると、古いぶんだけ、おおらかな設計となっています。
券売機は2台並んでおり、料金システムはいたってシンプル。
平日は100円、休日は150円ほど弘法の里湯より安めとなっており、このへんが地元民に支持される理由でしょうか?
券を購入してから下足箱のカギと一緒にフロントのお姉さんに渡して、脱衣場のロッカーキー(番号指定制)を受け取るシステムです。一昔前のデイスパによくある仕組みで、おおらかさを感じます。
そういえば朝から何も食べていなかった…というわけで、とりあえず食事処を目指します。
十割そば、まさかの売り切れ
食事処「だいこんや」は、フロントと反対側の左手にありました。
食事処は、いかにも和風の雰囲気でこれはクオリティの高い食事が期待できるかも…
「丹沢10割ざるそば」750円。
これだよ!せっかく秦野まで来たし、こういう通なメニューを期待していたんだよ!
というわけで、10割そばをオーダーすべく、券売機に向かいます。
ところが…!10割そばのボタンにまさかの「売切」!
これはすごく、いやものすごく残念。秦野はそばの名産地ということで、かなり期待したんだけどな…
たまらず、スタッフのお姉さんに「10割そばは、いつも売り切れなの?」
「いえ〜、今日はたまたま売り切れちゃってて、ごめんなさいね〜」
「じゃあ、オススメは?」
「皆さん、アジフライが美味しいって言ってますよ」
ということで、「アジカキ定食」(800円)を仕方なくオーダー。席に座ると、これでもか、というくらいに10割そばのPRが置いてあり、残念な気持ちを盛り上げます…
「本当に美味しいお蕎麦です」「香りが全く違います」「口の中で蕎麦の香りが爆発」
くう〜残念!「デイスパの料理の価値はそばにあり」がモットーのくろたま、これは実に惜しかった…
しばらくして、アジカキ定食が到着。
後で知ったことですが、口コミではアジフライの評価が高いそうです。しかし、明らかに出来合いのフライ盛り合わせに、味もフツー。これじゃあ、湯楽の里とか極楽湯と変わらないよう…と、少し残念な気持ちで食事処を後にしました。
浅くてぬるい露天も、硫酸イオンに満足
いったん、フロントのある広間に出てから、いよいよお待ちかねのお風呂に向かいます。
脱衣場はやや狭く、ロッカーも指定された番号を使うので、少々不便です。
冷水器で水分を補給。かけ湯して、まずは露天風呂にレッツ入湯!
垣根が高いため露天で立っていると、丹沢の山々がきれいに見えますが、お風呂に入ると残念ながら景色は見えません。
まずは、店の方の話では「循環の機械は使っているけど、実際はかけ流しですよ」という説明のあった上段の露天風呂に浸かります。
これは…ややぬるくて、浅いため座っても肩が出てしまうのが残念。塩化物泉とはいえ、実にサラッとした肌触り。
温泉の紹介
地下1001メートルより湧出する秦野21号泉
ナトリウムーカルシウム・塩化物泉(アルカリ性低張泉温泉)
PH9・1 湧出温度35度 毎分87リットル
加水なし・加温あり・循環あり・消毒あり
なんというか、塩化物泉というより、「山系」のアルカリ泉といった感じのお湯。
それにしても、お湯がサラッとしているなあと思って、温泉分析表を見ると、硫酸イオンが102ミリグラムも含まれているとのこと。硫酸塩泉って湯河原温泉とか、結構本格的な温泉地にあるはずだけど、いったいなんで?
丹沢山地と火山活動
丹沢山地には火山が無く、普通の山々のイメージがありますが、実は山自体が火成岩(火山活動でできた岩)で構成されています。隣接する箱根火山の堆積物ではないか等、様々な説があるようです。
硫酸塩泉は、酸性泉では主に火山ガス由来の成分とされていますが、中性の硫酸塩泉は、火山ガスが中和されて成分が湧いている説が有力。
丹沢山地は隆起を続けていて、秦野市は丹沢山地のれき層に位置しています。
さざんかの泉質に硫酸イオンが含まれているのは、もしかしたら火山の恵みかと考えるとロマンがありますね。
ロマンあふれる泉質とはいえ、浅くてぬるく、じっくりと浸かれなかったのは残念。
露天風呂は下の段にもう一箇所あり、こちらはやや深くてじっくりと浸かれました。これら二箇所の露天風呂は計25人くらいは入れる広さで、贅沢な作りになっています。
店の方の話では、女湯の壺風呂は、本当のかけ流しで、そちらに浸かれなかったのはやはり残念。それでも、ベタッとした首都圏の塩化物泉に比べて、サラッとした硫酸塩泉を堪能することができました。
強力ジェットバス、熱いサウナに感動
露天風呂を堪能したところで、内湯に戻ります。内湯にも広い温泉があって、こちらは少し塩素臭かったのですが、かなりの人数キャパがあることを実感できました。
内湯では、温泉に浸かった後、まずは電気風呂に向かいます。
電気風呂は、奥の腰用?にまず浸かったのですが、いくら待てども電気感はなし。壊れているのか謎でした。
手前のスペースは、なんと足のふくらはぎに電気マッサージがビリビリくる仕組みで、どうやら登山帰りに足をほぐすためかな、と感心してしまいました。
お次に、ストロングバス(ジェットバス)に向かいます。
これは…!凄い水圧だ!
肩から腰、足の裏まで激流が吹き付けます。肩こりに悩んでいるアラフィフのライターくろたまにとって、これはありがたい!あー、コリがほぐれる…極楽だあ。
そして、お待ちかねのサ道へと続きます。
メガネを入り口の棚において、いよいよ遠赤外線サウナへ。
予想外に広くて、20人は入れそうなキャパ。何より、お約束のテレビも無く、ひたすら熱い温度設定になっています。
実は私くろたま、サウナがあまり好きではない理由が、特にドライサウナだと、あまり汗をかかないのが不満なのですが、ここの湿度と熱はまるでロウリュと足して2で割ったように強烈。ジトジト汗をかくのが快感になります。
そして10分後、たまらず外の水風呂へ。
水風呂の温度計が壊れていて、17度くらいなのはなんとなくわかりますが、まずまず、キターって感じで、整いました。しかも、水風呂のすぐ横に冷水器が設置されていて、これは便利。味をしめて何度もサウナに入っては整いを堪能しました。
お休みスペースは無し。土産は充実
サウナで整ったところで、もう一度露天風呂を堪能してから、脱衣場を出てどこか休むところを探します。しかし、おやすみスペースはどこにも無し。強いて言えば、フロント横のテレビの前のベンチで皆さん休んでいるようです。
これは、「お風呂に入ったらさっさと帰ってください」ということかと一瞬思いましたが、多分建物自体の都合なのでしょう。確かにあまりだらだら休んでいるお客さんは見かけませんでした。
それなら、もう帰ろうかというわけで、恒例のお土産探しに向かいます。
お土産コーナーには、地元の商品がたくさん並んでいました。地粉の5割そばも売っていましたが、「10割そばロス」がトラウマになってこの日はスルーしました。
秦野市は、市内に名水100選の湧き水があるなど、水の美味しいところで、名水を使った豆腐なども並んでいます。
そして、ありました!知る人ぞ知る、生落花生。秦野は落花生の産地。しかも、千葉の八街産と違って、茹でた落花生を冷やして生のまま食べるというマニアックな食べ方で通には知られています。
540円は少し高いと感じましたが、家族へのお土産にチョイスしました。
口コミ
←お湯はやはりサラリとしているんですね。サウナの広さも魅力的です。
←ジェットバスについては、皆さん満足の様子。お湯が上品なのもうなづけるところでしょうか。
←登山客には脱衣場のロッカーはやはり小さいかも。休憩所については不満も仕方ないでしょう。記事には書きませんでしたが、ほぐし処、アカスリ、カットサロンまであり、地元の方には便利なようです。
←確かに掃除が行き届いていて清潔でした。東海大学前の場所柄、若者が騒ぐと雰囲気が壊れるので、空いている時間の訪問を勧めたいところです。
まとめ
さざんかは、ややぬるめでしたが、硫酸イオンの感じられる名湯でした。内湯のジェットバスと熱めのサウナも魅力的です。
その反面、食事メニューが品切れだったり、水風呂の水温計が壊れていたり、シャワーボタンを押しても3秒でお湯が止まってしまうなど、経営コスト削減と老朽化の波には逆らえない様子でした。
ただし、お湯自体は魅力的なので、気になる方は一度足を運んでみても良いでしょう。
また、何より料金がリーズナブルなので、今後も地元民に愛されるデイスパとして何とか続いて欲しいと感じました。
店舗情報・アクセス・料金・営業日・営業時間
- 店舗名
- 秦野天然温泉さざんか
- レビュー評価
- ★★★☆☆(3)
- アクセス
- 〒257-0003
神奈川県秦野市南矢名2丁目13-13
- ホームページ
- https://onsen-sazanka.com/
- 電話番号
- 0463-78-0026
- 営業時間
- 1000-2200
- 定休日
- 第3火曜日
- 平日大人料金
- 700円
- 休日大人料金
- 850円
- 料金メモ
- 無
- 【お店から】
- 秦野に湧き出る天然温泉。丹沢の山並みを眺めながら、ゆっくりとおくつろぎください。
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